飛騨市民新聞にて飛騨市の空き家の問題に関する記事で、飛騨里山オフィスの活動を取り上げていただいております。

「空き家対策 待ったなしー古川町の柳組が市内の『空き家』調査/15年後は3割が『空き家』?」

古川町宮城町の株式会社柳組(柳七郎代表取締役)が飛騨市内で行った住居調査で、現在「空き家」になっている家屋や、「将来的に空き家になる可能性が高い」と考えられる家屋が、市内全戸の3分の1近くにのぼることが分かった(2月1日現在、集合住宅を除く)。

今回の調査は、同社の飛騨里山オフィス事業の一環として行われた。飛騨の伝統的な家屋を保存して活用しようと、使われていない古民家など改修して都市部の企業や長期滞在の旅行者などに貸し出したり、移住に結びつけようという事業。県から委託を受けて昨年5月に事業を着手し、同11月から今年にかけて空き家の現状調査や、所有者の意識調査を行った。

ー15年後の空き家、3分の1近くにー

市内の空き家の数は747軒で、すでに9%に達した。また、15年後に空き家になる可能性が高いと考えられる65歳以上のみが暮らす家が1923軒あり、全体の23.1%。両方を合計すると2670軒で、全体の32%にのぼる計算になる。

「空き家」や「将来的に空き家になる可能性の高い家」など色分けし、住宅地図に書き込んだところ、観光や文化の中心となるべき市街地で軒並み「空き家」が続出しそうな結果となり、担当者は驚きを隠せなかったという。

また、古川町市街地で一軒一軒、空き屋の利活用に関する意識に関する調査もおこなった。空き家151軒のうち、利活用でそうな95軒を選定。3月22日現在で74軒の聞き取り調査も行った。結果は、「貸家を希望する」が5軒、「売却を希望する」が6軒でなんらか利活用を考える人は15%しかいない現状も見えた。

ー利活用の意識 所有者に薄くー

家は、使わないと急速に老朽化が進むと言われている。水道を使わなければ、配管が錆び付く、空気を入れ替えなければカビが生えるなど劣化が進む。老朽化が進めば不測の事故の恐れも生じ、放置されれば観光地としてのイメージダウンにもつながりかねない。

しかし、「分かっていても貸す事はできない」という所有者の事情もある。同社の聞き取り調査でも様々な声が聞かれたという。「使えるうちはまだ貸し出したくない」「家を貸してしまうと、売りたい時に売れなくなる」などだ。

ところが、時期を逸して「使えない」状態になってしまった家は、補修やリフォームに多額の費用がかかるため、逆に借り手が敬遠しがちだ。地方の不動産売買が停滞している今、所有者の希望通りの高値で売却できることも考えにくい。賃借を希望する人が多い一方で、売却を希望する所有者が多いという傾向もある。業者もマッチングに苦労しているのが現実だという。

また「他所に出ている息子がいつか帰ってくるかもしれない」「老人ホームにも入っても、いざという時の拠り所にしたい」と現状維持を望む声も根強いという。

過疎や少子高齢化に加え、利活用を望まない所有者の事情も重なり、結果として空き家は増えることになる。

ー最先端の問題「過疎」「空き家」ー

市街地は、観光産業や市内の主な祭りの拠点でもあり、いわば各町の「顔」でもある。そこに空き家が増え、歯が抜けるような様相を呈しつつあることに、もどかしさを感じる人は多い。同社のスタッフが調査していた時に「なんとかしてほしい」と訴える声が、所有者に限らず町のあちこちで聞かれたという。空き家の増加は目に見てるだけに、人口減少や町の活力低下といった現実を住民に強く実感させるようだ。

調査結果が示す通りに空き家が増えれば、これまでの行政サービスの提供や防災の仕組み、まちづくりのあり方までも変わってくる可能性もある。「今後、都市計画レベルで考え直すことが必要になるかもしれません」と飛騨里山オフィス事業の営業を担当する竹川恒平さん(31)。「行政だけでなく、コミュニティーの問題として皆で考えていく必要があると思います。そのために、まず現状を知ってもらえたら」。

全国的に少子化が進み、空き家は増加傾向にあるといい、どの地域でも解決策に頭を悩ます。自治体が「住民」と獲得競争をする時代。竹川さんは「起爆剤はありません。でも、そういう意味では飛騨市が『過疎』や『少子高齢化』、『空き家』といった日本の最先端の問題を抱えていると言えます。取り組みが全国的なモデルケースにもなりえる」と話す。

ー「その気」にさせる仕組みづくりをー

市が進める三世代同居世帯の住宅改修費補助といった施策も、若者や子どもの定住を促すという面で、「空き家化」を防ぐ一つの手段として評価はできそうだ。

しかし、市の人口減少の歯止めがかからない以上、抜本的な対策にはならず、空き家の増加は当面避けられそうにない。「他地域から空き家への移住を促す」「空き家を管理・メンテナンスする」といった対策はいずれ迫られることになる。

所有者から空き家を借り受けて管理し、希望者に貸し出すという同社の飛騨里山オフィス事業はそうした問題解決の一つの取組み方を示している。都会で暮らす古川町出身の所有者から委託を受け、維持管理や貸し出しを行う事業が昨年9月にスタート。徐々に成果が上がってるといい、今後の動向が注目される。

しかし、そもそも所有者に「利活用しよう」という意思が薄ければ、仕組みがあっても成果がでない。様々な事情や思惑を超えて、所有する住宅を利活用したくなる気にさせる仕組みはできないものか。空き家対策が待ったなしの問題になっている中、専門家を交えての「オール飛騨市」で知恵を出し合うばづくりが急務となっている。

▼他の関連する記事は・・・

中日新聞「飛騨市9%空き家」

飛騨市民新聞「古川祭を切り口に空き家対策を考える」

メディア掲載一覧

 

古民家一覧はこちら » »