飛騨びとのミラクル食材 “あぶらえ”

あぶらえ

飛騨を代表する伝統食材のひとつであるあぶらえはこの地方の呼び名で、正式にはエゴマと言います。飛騨地方では和え物、五平餅やおはぎのタレなどに用いられ、昔から祭りなどでは欠かせない食材です。歴史は古く、アブラエで作った油は、江戸中期頃まで食用や灯明の油として重宝されましたが、江戸後期になると菜種油にとってかわられてしまいました。

あぶらえから採れる油の最大の特徴は、油脂成分であるアルファ・リノレン酸を豊富に含んでいることです。含有量は菜種油や大豆油に比べてずば抜けて多く、一般的なごま油のなんと百倍。効用は中性脂肪を低下させて血栓症等の生活習慣病を予防するばかりでなく、体脂肪になりにくく、花粉症やアレルギー性鼻炎、アトピー性皮膚炎、気管支ぜん息を改善する効果もあると言われています。

あぶらえの育て方としては、6月に種まき、7月に定植(植え替えること)、10月に刈り取ります。もちろん夏には草刈も必要です。刈り取った後は、一週間から10日乾燥させ、脱穀し、選別をします。あぶらえの栽培のなかで一番大変なのが実はこの選別作業。もちろん機械でも洗うことができるそうですがエゴマの実の皮が破れやすく、やはり風味や栄養分が劣るとか。選別作業は次のように行われます。

 

1 とうみ(手動の選別機)にかけてゴミとエゴマに分けます。風を強く起こしすぎないのがコツ。とうみで分ける際に重いものは実を食用に、軽いものは油を絞るために使います。

2 ふるいにかけます。網目の大きいものから小さいものへと順番にかけていきます。

3 ピンセットで細かいゴミを取り除きます。

4 あぶらえを井戸水につけます。するとあぶらえは浮き、石などは沈んでいきます。これを3回ほど繰り返すとだいたい石、ゴミ、土を洗い落とすことができます。その後3日くらい天日干しして終了です。

 

若い人があぶらえを食べなくなったことや選別の大変さにあぶらえの生産量は減る一方でしたが、飛騨古川では10年前、地元有志が遊休農地を活用してあぶらえ栽培を始めました。その名も「えごまレディース」。また若い人にも伝えようと、あぶらえの使い方教室も行っています。

最近では高い栄養価と遊休農地対策としても注目され、国産材料にこだわったエゴマサブレやエゴマ油を使ったドレッシング、薬品会社で開発されたサプリメントなど新しい商品も創られるようになり、生産量も増えてきたとのこと。

こんな素晴らしい食材が手に入るのは、飛騨の里山ならではの贅沢です。

 

(この記事はSatoyamaExperienceの過去の記事です)

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