もみがら 知恵

飛騨古川にある保育園にて面白い行事が行われていました。“もみがら”を使い、園でとれたサツマイモを焼き芋にするのです。

気持ちの良い秋の晴れた日、少し風が吹くとさらさらと飛んでいくこの“もみがら”の山が保育園の畑にいくつかつくられていました。焼き芋をするとしたら普通は落ち葉を思い浮かべるところですが、ではいったいこの麦色をした“もみがら”とは何なのでしょうか。

 

秋になる頃、田んぼで大きく育った稲は私たちの主食のお米になるために刈られていきます。刈った稲を脱穀し、まずは玄米にするために皮を取りますが、その皮が“もみがら”です。

一見捨てられてしまいそうなこの“もみがら”ですが、昔から人々の暮らしの中で活用されてきました。最も一般的なものは燃やして畑に撒き、肥料にすることです。これは今でもよく行われています。そして昔は枕代わりにもみがらを袋に入れて使っていたこともあったそうです。

もみがら 知恵

また、もみがらは燃え出してからも持続性があるためずっと長くあたたかいというのが特徴です。そのため昔はもみがら専用の釜があり、それを使ってとても美味しいお米を炊いていたそうです。そしてこの“もみがら”の特徴を活かして楽しまれているものが冒頭の焼き芋です。

ここで甘くてほくほくのもみがらを使った焼き芋の作り方を見ていきましょう。まず掘りおこしたサツマイモを2週間天日干しにします。ここがとても重要で、サツマイモを干すことで甘いサツマイモがさらに甘みを増していきます。

 

焼き芋当日の朝、干されたサツマイモをきれいに洗い、新聞紙を1重だけ巻きます。最後にアルミホイルを巻いたら準備は完成です。天気は晴れ、少し風が吹いている方が、焚き火に火が点きやすく丁度良いといいます。

まずは地面に穴を掘ってそこに新聞紙、木片(昔は燃えやすい杉の葉がよく使われていたそうです)の順に入れていき、最後に下部にいくつか穴のあいている煙突を置きます。

その煙突にかぶせるようにもみがらをおき、真ん中から火を着けじんわりと全体が黒くなるまで待ちます。その時、焼いて黒くなったもみがらとまだ焼けていないもみがらを絶対に一緒に混ぜないことが大切だそうです。混ぜてしまうと焦げ臭くなってしまいせっかくの焼き芋が台無しになってしまうからです。

もみがら 知恵

もみがらの山を見守ること3時間、もみがらの焚き火はほどよく真っ黒な灰になっていました。手を近づけてみると、じんわりと暖まります。先ほどのアルミホイルに巻かれた焼き芋をその真っ黒になったもみがらの灰の中に入れていきます。そこからさらに1時間ほど経った後、お宝を探すかのようにもみがらの灰の中からサツマイモを取り出せば、ほどよく甘いほくほくの焼き芋のできあがりです。

 

昔から農家の人々はこうしてもみがらの焚き火を行ってきました。「どこどこやなぁ(あったかいなぁ)」じんわりと芯から暖めてくれるもみがらの焚き火を囲い、人々は寒く厳しい飛騨の冬がやって来る前の秋をこうして感じてきたのでしょう。私たちがふだん食べているお米、そのお米を守っていた“もみがら”は役目を変えても最後まで人々の生活を守り続けているのです。

 

(この記事はSatoyamaExperienceの過去の記事です)

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