融雪パイプ

飛騨古川の融雪

古川の町中を歩くと、道路の真ん中にボタンのようなものが見られます。何だろう?と思われる方も多いのではないでしょうか。これは融雪パイプです。

 

昭和56年。飛騨地域では記録に残る豪雪の冬を迎えました。地元では「56豪雪」(ごうろくごうせつ)と言われていて「あの年はえらかった~」(飛騨弁で「大変だった」の意)と当時を思い出す方が多くいらっしゃいます。飛騨古川の町は2メートル以上の雪の壁で埋もれ、雪かきも間に合わず、人一人通れるぐらいの道しか作れなかったそうです。

 

その中で飛騨古川の二之町のみが比較的に被害が少なく済んでいました。その理由は前年(昭和55年)に町の中で初めて融雪パイプを設置したからです。融雪パイプは道路にパイプを設置し、雪が降ったら地下水を流すことによって道の雪を溶かしていく仕組み。雪かきは大変な重労働ですから、水によって雪を溶かし人手を使わずに消雪するという仕組みは非常に画期的なものです。

 

二之町では住民が自ら資金を集め設置しました。この融雪パイプは今現在でも使われています。今では飛騨市が管理していますが、当時は管理や修理も町内の住民が行っていて、今でも修理道具一式を持っている家も少なくありません。

 

融雪パイプを設置するには立地条件がいくつかあります。

・地下水が多いこと。地下水は年間14度~15度の水温を保つため、融雪に向いていると言われています。

・気温が0度前後であること。気温が低すぎるとすぐに路面の水が凍ってしまい、危険だからです。

・坂が少ないこと。坂道が多いと、万が一気温が下がりすぎて水が凍ってしまった場合、大変危険であるためです。

 

 

飛騨古川の町は上記の条件を満たすことができたため、融雪パイプが普及しました。現在設置されている融雪パイプはほとんどセンサー式で、温度と降雪を感知して作動します。

 

同じように水で雪をとかす知恵は農村部でも見られます。農村部では融雪パイプはありませんが、家の裏山から流れている山水を道に流れるようにしておくだけである程度道の融雪ができます。

 

融雪パイプは市民にとって大変ありがたい道具ですが、一方で課題もあります。融雪パイプで使う地下水は水道水の水源と同じであるため、上流のほうで融雪パイプ用に水を使ってしまうと、水道水が足りなくなり、節水しなければならない年があったそうです。さらに水を道路に流すためポンプを使うので、エネルギー(電気)も使います。

 

便利さと貴重な地下資源の保全、さらには省エネルギー。今後はどのようにバランスをとっていくことになるのでしょうか。

(この記事はSatoyamaExperienceの過去の記事です)

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