杉玉

飛騨古川の酒造、樺酒造の杉玉

酒造の玄関を飾る杉玉。元々は酒蔵にある小さなもので、玄関に飾るのは最近の出来事だそうです。

杉玉とは、古代から酒蔵の入口にかけてあったお守りのことです。
現在は、時代の移り変わりとともに醸造元の象徴として表に出すようになりましたが、昔は杜氏(とうじ)の人たちの無病息災とお酒が無事に完成することを願って、蔵の入口に小さな杉玉が飾ってありました。

昔は、蔵元と杜氏は分業。蔵元が原料となる米を手配し、杜氏が酒を仕込むというスタイルでお酒を作っていました。現代とは違って衛生状態があまり良くなかった頃の酒づくりでは、火落菌(ひおちきん)によって、酒がひと樽もふた樽もダメになってしまうことが多くあります。蔵元から預かった大切なお米に火落菌が繁殖すると莫大な損失となるため、杜氏たちは祈るような気持ちで杉玉を蔵の入口に飾ったと言われています。
杉を使う理由としては、杉の木に殺菌作用があることと、神社仏閣の建物が杉であったりと、古代から神聖なものとして扱われてきたからだと伝えられています。

お話を伺った蒲酒造では、昔は杉玉の交換は新年を迎えるにあたって交換していました。全国的に見ても、昔は古くなったときに交換するということが主流だったようです。時代は流れ、杉玉が表に出て人の目に触れるようになると、新酒ができたときの目印として掛け替えるようになっていきました。

古川では、9月末にお米の収穫、10月の頭に醸造元で仕込み始めるので、11月末頃に新酒ができます。そのときに合わせて、毎年杉玉を交換しています。

「降ろすのは楽だが、新しい杉玉を持ちあげるのはえらい」。
蒲酒造の杉玉は、新しく作ったものは約80kgありますが、交換の時期になると水分が抜けるためだいぶ軽くなります。また、役目を終えた杉玉は、欲しいという方(飲食店の方、酒屋さん)にあげることが多いということでした。

ちなみに、新しくつけた緑の杉玉が茶色くなってきた頃がお酒の飲み頃。杉玉が玄関先にあるのを見つけたら、色のチェックをしてみてくださいね。

収穫期が終わり杉玉を準備する飛騨古川の酒造
杉玉を取り替えている様子。新しい杉玉は80キロぐらいあるそうで、取り替えるのは大変な作業だそうです。

 

(この記事はSatoyamaExperienceの過去の記事です)

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