本物の「わらび」餅を知っていますか?

わらび粉

わらび粉というのは、その名の通りわらびの根から取ったでんぷんの粉のこと。その粘着性から昔は和傘などの糊として使われていました。また同時に凶作に見舞われた農家の非常食でもあったという言われています。現在はわらび餅など高級和菓子の原料として使われています。

わらび餅は、デンプン・水・砂糖を加熱しながら透明になるまでかき混ぜ、さらに流水に入れて冷やし固めたもので、一般的にきな粉や黒蜜をかけて食べます。透明で見た目にも涼しげな夏の和菓子です。

わらび粉は採取や製造に手間がかかり収量が少ないため、現在では製造者が非常に少なく、そのため今日スーパーなどで売っているわらび餅は、「わらび」というのは名前だけ。わらび粉の代わりにサツマイモやタピオカで作られた澱粉、あるいは葛粉を材料にして製造したものがほとんどです。本物のわらび粉で作ったわらび餅は希少な高級品になっているのです。

ここ飛騨の山之村でもなんと25年間わらび粉をつくっていなかったのですが2008年から伝統的な暮らしや文化に誇りを持って継承していくためにと幻の行程が復活しました。2012年には六本木にてワークショップも開催、山奥の知恵が東京で注目されたというわけです。

わらび餅 つくりかた

木槌でわらび根を叩く作業

もちろん行程は全て手作業で大変ですが、ひとつひとつの行程に先人の知恵を感じ取ることができます。

まずつるはしを使っての根の掘り出し作業。黒くて太いものを取ると澱粉がたくさん取れるそう。

根を掘ったら川に運び、川の中で三本くわ等を使って大雑把に泥や粘土を落としていきます。その後たわし等を使って一本一本根を丁寧に洗っていきます。まずはこの作業がとても大変です。

洗い終わったら根をコンクリート床など硬いところに持っていって、木槌で丁寧に叩いていきます。叩くと、白くネバネバした液が出てくるのです。15分くらいひっくり返しながら叩きます。

そして舟(縦60cm、横180cm、深さ60cm程度の木製の箱)と呼ばれる入れ物の中に、水と叩いたわらびの根を入れよくかき混ぜます。そうすると中のでんぷん質が溶け出して、とろとろの液体になります。

その後濾し器(木製の濾すための容器)の中にすだれを敷き、その上にわらと1年前に絞ったわらびの根の繊維をいれ、その上からとろとろの液を入流しゴミなどを濾していきます。

これを4〜5回繰り返した後、その液を細かいざるで濾します。そしてさらに布袋でこして、濾した物を容器に入れ、一日以上沈殿させます。

わらび餅 つくりかた

左が黒バナ 右が白バナ

沈殿したら上積みの液を捨て沈殿物だけにします。しかしまだ水分があるのでそこに乾いた布を敷きその上に灰を入れます。これで水分を吸着させるのです。布と灰を取り出し。その後1週間くらい乾かすと、固形の二層に分かれた澱粉が残ります。上層は黒く下層は白くなります。黒いものを黒バナと呼び、昔はお餅などにして焼いて食べていたそうです。 白い部分が白バナと呼びわらび粉になります。約50kgの根からなんと片手一杯くらいしか取れない希少な食材です。

わらび粉には沢山の食物繊維が含まれていて、便秘解消や大腸がん予防にもなるそうです。また血圧を安定させ、免疫力をあげる作用もあります。

さらに昔は絞った根を縄にして使っていました。大変水に強いことが特徴で漁師が使う網などのとして使われたそうです。

良いわらび粉をつくるには、3つの掟があります。山菜として収穫しないこと、春に山を焼くこと、そして1回収穫したら10年は収穫しないこと。つまり山の手入れをすることによって豊かな恵みを受けられるというわけです。

わらび粉づくりは良い山づくりから。何でも手に入る便利な世の中ですが、わらび粉づくりの大変さは、本当に良いものはそう簡単には手に入らないということを教えてくれているのかも知れません・・・

(この記事はSatoyamaExperienceの過去の記事です)

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